ヨガを行うことで得られる効果は身体的なものに限りません。不安な気持ちや鬱状態、または不快な気持ちから抜け出し、静かで安定した心と身体を手にすることができるのです。
偏頭痛は神経系の問題ですが、周期的に頭痛が起こり、症状は少々痛い程度から、かなり深刻なものまで多岐にわたります。通常、頭の左右どちらかに頭痛が現れ、短いときで二時間、長い時では二日間もの間続きます。
偏頭痛を抱える人は、特に頭痛が出ている際、光や匂いに敏感になりがちです。他にもむかつきや吐き気、痛みが症状として挙げられますが、運動をすると悪化します。
ヨガのプラクティスは、資格をもった指導者のもとで行うのが良いと言われています
ヨガのポーズが、偏頭痛や頭痛に対してできること
緊張やストレスは、おそらく偏頭痛の原因と思われます。いくつかのヨガのポーズをとることで、緊張やストレスを緩和し、脳への血の巡りを良くすることができます。
不快な気持ちや動悸を改善してくれるでしょう。
以下に、偏頭痛の症状を緩和し、身体も精神も感情も健康でいることができるためのヨガをリストアップしました。
ハスタパダーサナ(立位前屈)
セッツバンダーサナ(橋のポーズ)
シーシュアーサナ(子どものポーズ)
マージャリアーサナ(猫のポーズ)
パッチモッタナーサナ(二本の足を伸ばした前屈)
アドムカシュバナーサナ(下を向いた犬のポーズ)
パドマーサナ(はすのポーズ)
シャーバアーサナ(死体のポーズ)
1) ハスタパダーサナ(立位前屈)
Ashutosh先生によると「このアーサナを行うことによって、背中の筋肉が伸び、活性化され、神経系に作用して血流を良くすることができます。ストレスの緩和やホルモン調整にも役立ちます」とのことです。
足を揃えて立ちます。深く息を吸って両手を頭の上に伸ばしましょう。息を吐きながら身体を前方に折り曲げていき、両足の方に向かって降ろしていきます。ここで深く呼吸をしながら30秒ほどキープします。
背骨と両足を伸ばし、両手を両足の脇に置きます。
お尻から尾骨にかけてを持ち上げるようにし、深い呼吸をしながら頭を両足に近づけていきましょう
両手を上に持ち上げるのと同時に立位のポーズに戻っていきます。息を吐き出して両腕をリラックスし体側に戻します。
立位前屈を行う際の注意点
腰に痛みのある方は行わないでください
頸椎または背中につながる痛みのある方も行わないようにしましょう
脊椎炎の方にも不向きです。
2) セッツバンダーサナ(橋のポーズ)
上半身や胸部、肩を開き、不安を解消し、リラックス効果のあるポーズです。
仰向けになります。膝を曲げ、足の裏は床につけましょう
両腕をできる限り伸ばし、両手の平を床側にむけます。
骨盤を上に持ち上げます。上半身も同様に持ち上げましょう。肩から頭部まではまっすぐに床に触れておきましょう
太ももと足が平行であることを確認しましょう。体重を均等にかけていきます
1分ほどキープしましょう
戻る際は、腰の方からゆっくりと床に付けていきます。床に上半身がしっかりと戻るまで膝は曲げておきましょう。そこからゆっくりと上半身を起こした体制まで戻ります。
橋のポーズを行う際の注意点
潰瘍やヘルニアのある方は行わないようにしましょう
首の痛みがある場合も危険です
背中の痛みがある方にも不向きです
膝の痛みを抱えている場合はこのポーズは飛ばしてヨガを行いましょう
肩を痛めている場合も同様です
このポーズを行っている際は首を左右に動かさないようにしましょう
ヨガのプラクティスは、資格をもった指導者のもとで行うのが良いと言われています
3) シーシュアーサナ(チャイルドポーズ)
チャイルドポーズは、神経系に作用して気持ちを落ち着かせ、痛みを和らげることができます。
膝立ちになります。つま先はそろえ、可能な範囲で膝を横に広げます。
お尻をかかとの方に降ろしましょう。
その状態で背筋を伸ばしこのカタチに身体を慣らします
息を吐きだしたら前屈します。頭と胸部が太ももの間、もしくは上に乗るような位置に入ります。眉あたりを床につけ、リラックスします。
両手は、手のひらを下にした状態で前方に伸ばします。
1分程度キープします。首や肩は力を抜きましょう。
戻る際は両手で上半身を持ち上げて、お尻をかかとに降ろしましょう
チャイルドポーズを行う際の注意点
背中、膝の故障
妊娠中
下痢症状 以上の症状のある方はこのポーズは避けてください。
4) マージャリアーサナ(猫のポーズ)
このエクササイズをすると、背中の筋肉を鍛え、コアを強くし、消化器官の働き、血液循環を改善することができます。このすべてが、偏頭痛を改善することにつながる、とAshutosh先生は言います。
四つ這いの姿勢になりましょう。両腕は垂直に床に降ろし、肩の下に両手がくるようにしたら手のひらは床に置きましょう。
一歩前にステップし、足を腰幅に開きます。息を吸いながら頭を後ろに傾け、尾てい骨を突き出して股関節を絞り込みます
キープしている間は深く長い呼吸をしましょう。息を吐いたら、背中でアーチを作りながら目線は下を見ていきます。このポーズでまた数秒キープしたら、最初の位置に戻りましょう。
マージャリアーサナを行う際の注意点
腹筋を伸ばしたり力を入れたりする動きを行う際には細心の注意を払う必要があります。
無理なストレッチを行うと、痛みを引き起こしたり、筋肉を痛める恐れがあります
妊娠中にこのアーサナを行う際は、腹筋に力を入れる際、無理をせず、ソフトに優しく行いましょう
頭部や膝に故障のある方は、行わないようにしてください。
5) パッチモッタナーサナ(座位の前屈)
このエクササイズを行うことで、腰、太ももの裏側、そしてお尻部分をストレッチすることができます。
お腹周りや腰骨周り、肩の調子を整え、マッサージしていきます。
足を前に伸ばし、背骨を伸ばして座り、つま先は上向きにします。
深く息を吸い、両腕を頭の上に伸ばし、背筋を伸ばしましょう。
息を吐き、腰骨から前屈していきます。アゴがつま先方向に向いていくようにしましょう。背骨はまっすぐに保ち、膝方向ではなく、つま先に向かって前屈するようにします。
両手は、無理をしない範囲で両足、もしくは自分で届くところに置きます。可能であればつま先をつかみ、前屈を深めます。
息を吸うと同時に頭を少し持ちあげて、背筋をさらに伸ばします。
吐く呼吸と共に、少しずつお腹の中心を膝に近づけていきます。
この動きを2~3回行いましょう。
20~60秒程度、頭をリラックスさせて前屈し、深い呼吸を続けます。
両腕を前方に伸ばしましょう
息を吸うを共に、両腕の力を使って座位のポジションに戻ります。
息を吐き出し、両腕を降ろします。
パッチモッタナーサナを行う際の注意点
両腕、腰、足首、または肩に問題がある場合はこのポーズは行わないでください。
このポーズを行う際は無理をしないようにしてください。硬くてあまり前屈を深められない場合でも、無理をせず、自分のできる範囲で行いましょう。
このポーズは腹部に負荷がかかるので、胃にも圧迫する感覚があるかもしれません。
ヨガのプラクティスは、資格をもった指導者のもとで行うのが良いと言われています
6) アドムカシアーサナ(下を向いた犬のポーズ)
ダウンワードドッグ(下を向いた犬のポーズ)は血流を脳までいきわたらせる効果があります。
始めは四つ這いの姿勢から始めましょう。手首は肩の真下に置くようにし、膝は腰骨からまっすぐ下に降ろします。
上半身から力を抜き、肘を伸ばしていきましょう。
手指を開いて伸ばし、床を押します。体重は両手に均等にかかるようにしましょう。
ゆっくりと膝を床から離して持ち上げます。
両足をしっかり伸ばします。このとき、腰をロックしてしまわないようにしましょう。
背骨を長く保ち、腰骨を持ち上げます。
この状態で2分ほどキープしましょう。
戻る際は、ゆっくりと膝を曲げ、四つ這いになってからほどきます。
下を向いた犬のポーズを行う際の注意点
このポーズを行う前にはウォーミングアップをしましょう。
ヨガを行う前3~4時間は食事を控えましょう。
足首、手首、背中などに故障のある場合はこのポーズはしないでおきましょう。
心臓や胃に問題のある方も同様です。
7) パドマーサナ(ハスのポーズ)
パドマーサナは、ハスのポーズとしても知られていますが、足を組んで座るヨガのポーズで、心を落ち着けて瞑想を深めたり、身体の様々な不調を緩和する効果があります。
基本的なポーズはハスのように座り、ヨガを行う人が花開くのを手助けするため、パドマーサナと言われています。ハスのポーズは中国やチベット仏教ではヴァシュラ(神様)のポーズとして知られています。
マットに座り、両足を前方に伸ばし、背筋を伸ばします。
右ひざを曲げ、左太ももの上に乗せます。足の裏が上向きになり、かかとがお腹近くにあることを確認してください。
反対側の足も同様に行います。
両足を、それぞれの太ももに乗せた状態を保ったまま両手でムードラを作り膝の上に置きます。
背筋、首筋をまっすぐ伸ばしましょう
長い時間キープします。呼吸は優しく続けましょう。
ハスのポーズを行う際の注意点
膝を痛めている場合はさらに痛みを増長する恐れがあるのでさけてください。
坐骨神経痛の懸念がある場合は行わない方が良いでしょう
足首を痛めてい場合も避けてください。
初回は2~3分以上はキープしないようにしましょう。
8) シャーバーサナ(死体のポーズ)
このポーズは、死体が横たわっているところからなぞらえて名前がつけられました。お休みのポーズであり、通常ヨガレッスンの最後に行われます。基本的にレッスンは、アクティビティから始まり、お休みのポーズで終わります。ゆっくりと身体を休めることで、深い癒しの効果が望めます。
仰向けに横になって行いましょう。
両足は離して置きます。両足から力を抜くことで、自然に左右に開いていきます。
両腕は体側に平行になるようにし、少しだけ身体から離して床に置きます。
手のひらが上になるように置きますが、無理に開くことのないよう、力を抜きます。指先が内側に入っても大丈夫です。
支えとなるように、肩甲骨を後ろに向けましょう。橋のポーズで肩を内側にたくしこむよりも楽なポーズです。
身体の位置が整ったら、楽にして、顔の緊張もほどきましょう。重力を感じます。
自然な呼吸を心がけて、何か心にひっかかることがあっても呼吸にのせ、感じるだけに集中し、深く考え込まないようにします。
5分以上はこのままお休みしましょう。10分間の方が良いでしょう。自宅で練習する際はタイマーをかけて、ポーズ中に時間を気にする必要のない環境をつくります。
ポーズをほどく際は、呼吸を深くすることから始めます。指先やつま先から少しずつ動かして、身体を起こしていきます。
頭の上に両腕を伸ばし、両足と両腕で引っ張り合って全身のストレッチを行います。
両足を胸の前で抱え、左右どちらか片方に倒れます。両目は閉じたまま、呼吸数回分、下になった腕を枕にして胎児のポーズでもう少し休みます。
両手の力を借りながら、座位のポジションまで身体を持ち上げましょう。
シャーバアーサナを行う際の注意点
シャーバアーサナを行っている際は身体を動かさないようにします。身体が動くと集中を欠き、練習の妨げになってしまいます。
床が硬く、平らなところで行いましょう。
静かでリラックスできる環境で行いましょう。
偏頭痛には、プラナヤーマ(呼吸法)も有効です。
日常から呼吸法を練習することは、生活の質を変えてくれます。プラーナを増幅させ、エナジーレベルを引き上げてくれます。
1) アムローマ・ヴィローマ
アムローマ・ヴィローマは、ヨガで使われる、呼吸法(プラナヤーマ)の1つです。呼吸を吸い込むときに片側の鼻の孔を閉じて行い、吐き出す際は反対の鼻の孔から行います。最低でも15分は行い、日常的に行うようにしましょう。
座位をとり、瞑想のポーズになります。目を閉じて背筋、首筋をまっすぐに伸ばしましょう。
今関係ないことはすべて忘れて考えないようにしましょう。
手首の外側を膝にのせ、始めていきましょう。
右手の中指と人差し指を折りたたみます。
親指を右の鼻筋にのせ、薬指を左の鼻筋に乗せます。
右の鼻を閉じ、左の鼻から深く息を吸い、肺を満たします。呼吸に意識を向けましょう。
今度は薬指で左の鼻を閉じて親指を離します。
右の鼻からゆっくりと息を吐き出しましょう。
同様に、右で吸って左で吐くように呼吸を繰り返します。
アムローマ・ヴィローマを行う際の注意点
まずは、途中で息が止まらないように練習します。最低でも3~4か月かかるでしょう。
吸う:止める:吐くが1:2:2の割合になるように練習します。慣れてきたら1:4:2になるようになります。
無理な長さで息を止めることのないようにしましょう
このアーサナを行っている際は静かに座りましょう。
少しずつできる時間を伸ばしていきましょう。
吸って吐いてをゆっくりとリズミカルに行い、音を立てないように気を付けます。
高血圧の方は、息を止める部分は行わないようにしましょう。
必ず資格を持った指導者のもとで行うようにしてください。
2) ブラーマリー
ブラーマリーは神経系を鎮静させ、特に脳や前頭の活動をスムーズにします。ハミングする動きが響き、自然に鎮静していく作用を起こします。毎日5~10分行いましょう。
風通りの良い場所で目を閉じて座り、静かに背筋を伸ばします。軽く微笑んで行いましょう。
そのまましばらく目を閉じます。静かにしながら、身体の感覚を観察します。
人差し指をそれぞれの耳たぶに置き、ほおと耳の間にある軟骨に人差し指と中指を置きます。
深く息を吸い、吐くときに優しく軟骨部分を押していきます。ハチのようなハミングする音を出しながら呼吸をし、指を当てている部分に関してはそのまま押したり引いたりをします。
低い音を出して行うこともできますが、高い音の方が良い効果が出ます。
この流れを繰り返し、3~4回行いましょう。
ブラーマリーを行う際の注意点
胃に食べ物が残っていない状態で行いましょう。
指を耳の穴の中に入れてしまうのは避けてください。軟骨の上に置くようにします。
ハミング音を出している間は、口を閉じるようにします。
顔の力を抜きましょう。
3~4回以上は行わないようにしましょう。
軟骨部分は、優しく押すようにしましょう。
3) ディアーナ (瞑想)
ディアーナはサンスクリット語で「瞑想」を意味します。dhiというのは「入れ物」または「心」を指し、yanaは「動く」「進む」という意味があります。二つの言葉がつながって、「思い至る」という意味になります。毎日の生活の中で5分でもいいので取り入れるようにしましょう。
平静で落ち着いて座れるポジションを探して座ります。
始めたばかりのときは、5分や10分の短い時間行うだけでも十分に効果はあるでしょう。
椅子に座ったり、床で胡坐をかいたり、膝立ちになったりと、どのようなポジションでも大丈夫です。しばらくの間、落ち着いて静かに座れるかどうかを確認しましょう。
身体から出る呼吸、入る呼吸に身をゆだねましょう。
あなたの注意が最終的に呼吸から離れ、フラフラとしてしまうことがあると思います。それに気付いたら(数秒でも数分でも5分でも)集中を呼吸に戻しましょう。
自分を律する必要もなく、考えをめぐらす必要もありません。ただ呼吸に感覚を戻します。
準備ができたと思ったら目線をゆっくりとあげていき(もしも目を閉じていたら開きましょう)ます。まわりの音に耳を澄ませ、自分の身体の様子を観察します。思考や感情を観察します。
ディアーナ(瞑想)を行う際の注意点
鼻や耳に感染症などがある場合は行わないようにしてください。
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